リスボン市電雑感

 7つの丘の街と言われるリスボンは、古めかしい市電がよく似合います。
 路線のアップダウンがきつくアクロバティックに線路が敷かれているため、走る様はまるでジェットコースターのようです。
 特にアルファマ地区の細い路地を洗濯物をかすめて市電が行き交う姿は他では見られないリスボン独特の光景です。
 最盛期に比べれば路線もずいぶんと縮小されたようですが、まだまだ市民の大切な足として重宝されています。

 路線と見所


12系統



  フィゲイラ広場を起点にサンジョルジュ城を時計回りに廻る環状線。
 線路は単線のため、1方向にしか電車が走りません。また、ポルタス・ド・ソル広場〜バイシャ間は28系統と共用です。
 環状線の1周はだいたい3Kmくらいですが、1両しか運転されていない模様で、運転間隔は結構開くことが有りますので、お乗りの際は辛抱強く待つことをお薦めします。

 写真
(左)サンジョルジュ城裏手のポルスタ・ド・ソル広場で28系統と合流する12系統の電車。        
(右)フィゲイラ広場の北側マルティン・モニースよりポルスタ・ド・ソル広場への急坂を上る単車。
 

15系統 

 フィゲイラ広場を起点にベレン方面に向かう路線、唯一低床式のLRTが導入されています。(在来の旧式単車も一緒に走っています。)
 旧式の単車の場合、キップは運転手から買いますが、LRTの場合は車内の自動販売機で購入します。
 LRTは全ての電車で全面広告がなされています。

 路線は広い道路を通っているため、電車はポールではなくパンタグラフを上げて走行しています。



写真はバイシャ地区で28系統と交差する15系統のLRTです。


28系統
 プラゼレス墓地よりバイロアルト、バイシャ、アルファマを抜け、グラサからフィゲイラ広場北側のマルティン・モニースに至る路線。
 有名なアルファマの路地や、ガントレットなど非常に見所の多い路線です。リスボンにお立寄りの際は是非乗車をお薦めします。








 上写真
  (左) アルファマの有名な路地のグラサ側です。
 こんな細い路地まで電車が入るなんてと驚きでしょうが、ここはアルファマのメインストリートの一部。
 車は写真手前から奥への一方通行ですが、奥から電車が来る場合は信号でストップとなります。
 見ての通り狭い上に急カーブのため大型の電車が入れないため旧式の単車が生き残っている訳です。
ちなみにこの路地はバスの通り抜けも不可能です。
  (右)アルファマの路地への入口、ポルスタ・ド・ソル広場側
 アルファマの路地への入り口部は、ガントレットになっており、写真の電車の位置で線路が割り込んだ後、すぐ左カーブして行きます。
 その先で一端分かれた後、すぐ単線となって路地に突入しています。
 写真右側の赤信号は、単線区間の待ち合わせ用です。


ポルタス・ド・ソル広場
 (左)12系統との合流地点を通過する28系統の電車。
   28系統は基本的には複線ですが、ここの辺りは狭いので単線になっています。
 (右)同地点の反対方向。 
   不正乗車には非常に厳しい運転手さんも、電車の後ろにしがみつく子供には寛大です。
   

 
 (左)バイシャ地区を後にアルファマ目指して坂を上る電車。
 (右)リスボン市電最大の敵、線路への違法駐車
    警官も駆けつけたが、ドライバーが戻ってきません。リスボンではごく普通に繰り返される光景のようです。